「腰痛」


腰痛は人類の宿命的な病気
 腰痛は人類が直立歩行をするようになって以来の宿命的な病気といわれています。腰痛はごくありふれた病気ですが、中には重大な骨の障害や内臓の病気が隠れていることがあるので、注意が必要です。また「腰」とういう字はつき(にくづき)に要(かなめ)と書き、体の要を表す意味がある程ですから、慢性化すると日常生活に支障をきたしますので、注意が必要です。

 腰痛とは腰が痛むことを言いますが、その痛みは激痛、重い痛み、電気が走ったような痛み、ギクッとする痛みなどとさまざまです。痛む箇所も腰やその周辺だけでなく、お尻や足まで及んできます。
 人間の体を支えている背骨(脊柱)は24個の椎骨から成っています。正しい姿勢で直立した時、背骨は緩やかなS字カーブを描いており、このS字カーブした背骨によって、動作がスムーズになり、外部からのショックが吸収されるなど、体本来のバランスを取るのに役立っています。背骨は頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)で構成され、それぞれの間にクッションの役目がある椎間板(ついかんばん)があります。

 椎間板は加齢とともに老化し、弾力を失っていきます。このように退化する椎間板を守って腰痛から保護してくれるのが、筋肉やじん帯ですが、運動量が不足すると、これらも次第に弱くなっていきます。このような状態になると、ちょっとしたバランスの崩れでも、腰痛を引き起こす原因になります。また日常の多忙な生活、過激な運動、長時間の緊張した姿勢、アンバランスな食生活も腰痛の原因となります。

 人間が運動する時に背骨にかかる力非常に大きなものがあり、座っている時でさえ、仰向けに寝ている時の数倍の重力がかかっていると言われます。立ったり座ったりするだけでも、背骨にかかる負担は相当なものですが、これに加えて日常生活では重いものを持ったり、階段を昇ったり降りたりするなど、背骨に相当負担がかかっていることから、腰痛を訴える人が多いのも当然と言えます。
各種腰痛の症状 慢性腰痛 長時間にわたる自動車の運転で不自然な姿勢を続けたと時、仕事に疲れが出る夕方などに、腰がこわばり、鉛が入ったような重苦しい鈍痛が起こる症状をいいます。一日中痛むこともありますが、横になって休めば楽になります。
この場合は温める療法が適しているでしょう。なお慢性腰痛は、我慢できないというほどのものではないので、つい無理な生活を続けがちですが、放置させると悪化させる危険性があります。
ギックリ腰
(急性腰痛)
西洋では「魔女の一突き」と言われるように、急に立ち上がろうとしたり、中腰で重いものを持ち上げたときなどに、腰が急にギクッとなる症状を言います。痛みの程度にもよりますが、中には立ち上がれないようなときもあります。
治療法としては横になって休むことが第一で、腰にかかる負担を少なくする意味で、仰向けに寝て、膝の下に枕か座布団を入れ、膝を曲げると楽になります。この場合は痛む箇所を冷やし、2〜3日して痛みが引いた後でもう一度、温める療法が適しているようです。
変形性脊椎症 40歳を過ぎる頃から起こる老化現象の1つです。朝、起きた時に痛みを感じますが、布団から出てしばらくすると、痛みが和らいでいきます。
朝、起きた時に痛みを感じると言うことは筋肉が硬くなり、血液の循環が悪くなっった状態で起きることが想像できることから、この場合は温める治療が適しているでしょう。
椎間板ヘルニア 咳やくしゃみをすると、腰に激痛が走ったり、中腰で物を持ち上げた時に脳天を突くような痛みを感じることが特徴です。急性の場合はギックリ腰と似ていますが、椎間板ヘルニアは鈍痛が続く慢性の場合もあります。
まずは安静にすることが大切で、足や腰を海老のように曲げて寝て、一時的に冷やします。1〜2日後に温めると血液循環が良くなり、回復が早くなると言われます。
内臓疾患が関係していることも
 胃、腸、すい臓、胆嚢(たんのう)などの消化器、腎臓、泌尿器、子宮・卵巣などの生殖機能などの疾患によっても腰痛は起こります。腰痛は体の注意信号であり、気になる痛みがあれば、病院で適切な指導を仰ぐ必要があります。以下に腰痛の症状と内臓の各種疾患について紹介します。

・腰の痛みと同時に足の痺れを感じたリ、腰の痛みが徐々にひどくなっていく → 脊髄の病気の疑い

・生理不順で出血も多く、腰が痛む → 女性器の病気の疑い

・吐気や胸焼け、空腹とともに腰が痛む → 消化器の病気の疑い

・頑固な便秘に悩んでいる上、腰が痛む → 腸の病気の疑い

・脂っぽい物を食べると腰が痛くなってくる → 胆嚢の病気の疑い